第2章 conspiracy
「あいつも……俺と同じ、写し……」
理仁が去って行った方を見つめて、戸惑ったように瞳を揺らしていた。
結局、山姥切はどうして理仁を強く拒絶しているのか、明確な理由を知ることは出来なかった。
「まぁ、今はまだそれでもいいか」
与えられた自室にて、陽が落ち始めた外の風景を少しだけ窓を開けて、眺めていた。すると襖の向こう側で「宝条様」とこんのすけと思われる声が聞こえた来た。
「宝条様、お部屋におられますでしょうか」
「ああ、どうかしたか?」
「……山姥切様のことは、どうなりましたか?」
「どうとは?」
「えっと……和解、されたのでしょうか」
「和解する必要があったのか?」
「じゃあ何のために、山姥切様のところへ行ったのです!?」
「人ってのは正解が目の前にあると、考えないものだ」
「はい……?」
理仁はどこか遠くを見つめるように、空を仰いだ。
「提示された回答を暗記するだけじゃ、自分の知識にはならないということだ。何故、どうして、そうやって疑問を持ち自ら考えることで辿り着いた答えは、とても心によく馴染む。必要なのは和解じゃない……互いを知ることだ」
「は、はぁ……そういうものでしょうか?」
「とりあえず、明日は俺一人で出来る仕事から始めたい。一通りの説明は、明日にしてくれないか?」
「はい、勿論構いません。ではまた明日、お伺い致します。食材はある程度政府から支給されますが、基本的には自給自足ですのでお忘れなきよう」
「わかった」
理仁は窓を閉ざすと、鞄の中から携帯を取り出した。電波は一本も立っておらず、圏外になっていた。審神者になる時にある程度携帯機器などの説明は受けていた。