第36章 新たな道に
私は二つのキャンパスを前にして
静かに筆を取った
今までの私を振り返り
思いを込めて色を混ぜていった
一筆、一筆に彼への感謝を込めるように
彼への思いを込めて
丁寧に仕上げていった
「できた......」
私は出来上がった二つの作品を見て
満足していた
同時に仕上げた作品は部屋に入ってくる
光とまだ乾いてない絵の具の部分で
キラキラしていた
私はその綺麗なキャンパスを嬉しそうに見ると
スマホを取り彼に出来上がりを
LINEで報告するした
送信するとスマホを置き
帽子を手にし
「よし、行くか!」
私は元気よく出かける事にした
そうあの場所に
どうしても、したい事があったから
私は早足で足にまとわり付く砂すら気にせずに
歩き続けた
二人で会っていた場所には、
穴場の海水浴を知っている人が楽しんでいたが
彼がいつも座ってた場所に腰を下ろすと
一人で砂を積み上げていった
彼と出会ってから私は変わったのだろうか
基本は変わってないと思った
私は顔につく砂すら気にせずに
砂を叩いて形を整えていった
でも、心の奥の大事な部分は変わった
幸せは自分で作るという事を
彼が教えてくれたから
ここで出会ってから
何度も私の夢を応援してくれて
弱い私の心を支えてくれたから
今、私の夢が少しだけ進んだと感じていた
この出来上がりそうな砂の城のように
少しづつ、夢が積み上がってるんだと
「やっぱり、私じゃ上手に出来ないなぁ?」
私は顔に付いた砂を払いながら
上手に作る彼を思って笑っていた
そしてやっと城が出来上がった時に
彼のようにメッセージを残した
アイシテマス
私は手の砂を払いながら得意げに
そこから見える恋人の島を見て
幸せな二人の未来を思って微笑んでいたのでした
これから起こる
本当の意味の試練など知らずに
最大の選択を前に
私は今の幸せを抱きしめていたのでした