第35章 大切なモノ
彼は部屋につくと一番先に丁寧に
私の作品を二人の手形のキャンパスの
隣に置いてくれました
「ありがとうございます
今、コーヒーを入れますんで座って下さい」
私は、彼に声を掛けると、やかんに火をかけた
安田「なぁ、ゆめちゃん」
「どうしたんですか?」
マグカップを用意しながら返事すると
彼はキッチンの方に歩いてきながら
安田「あの作品のぼんやりとある男ってさぁ
俺なん?」
私は彼の言葉に驚いて
マグカップを落としてしまった
床に飛び散ったガラスを見て
彼は駆け寄って来た
安田「ゆ、ゆめちゃん、大丈夫か!」
「大丈夫です、大丈夫です
片付けますので、座っててください」
私は、絵に彼を描いてしまったのを
知られてしまったので動揺していた
あと、気恥ずかしかったのもあった
安田「俺も手伝うって」
「ダメですよ、ケガしちゃいますから」
私は必死でガラスを掛け集めていた
その時だった
「い、痛い」
私の指にガラスの破片が刺さってしまった
安田「ちょ、見せてみぃ」
彼は私の刺さった手を強引に掴むと血が滲んでる
指を見た
安田「ゆめちゃん、ピンセットないん?」
「あっ、そこの棚の小さい引出しに」
私が指を指しながら伝えると、
彼は棚からピンセットを取り出して
指の刺さったガラスを優しく取ってくれた
安田「ちゃんと取っとかんと、危ないやで」
「本当にすいません」
私は恥ずかしくって俯いた
安田「ええんやで、それよりバンドエイドは?」
「えっと、」
私は自分で動いて、薬箱から取り出すと
バントエイドを巻こうとすると
安田「自分で出来へんやろ?」
そう笑いながら私の手から
バンドエイドを取り上げると
優しく血が滲んでる指に巻いてくれたのでした
安田「ほんまになんでもさぁ
一人で頑張ろうとするんやから」
巻き終わるとその合図のように
私の頭を優しく撫でたのでした