第30章 幻
私は恐々と自分の気持ちを彼に伝える事にした
私は震える自分の身体を必死で抑えていた
「安田さんの事がバレてはダメだと思ったんです
私は、その守りたかったんです
二人の時間を.....」
上手に彼に気持ちを伝えられない自分が
悔しかった
安田「二人の時間?」
「はい、もし週刊誌に載ってしまったら
今のままでは居れませんよね、絶対に?」
彼は私の言葉に静かに頷いた
「私にとっては、二人で過ごす時間は
何よりも大切だったんです
それが、いくら私の同級生だったとしても
壊される可能性はないとは言えないので
私は言えなかったんです」
私の言葉を彼は静かに聞いていた
何かを考えているようでもあった
「本当に、馬鹿な事をしてしまって
すいませんでした」
私は深々と頭を下げた
すると彼はそんな私を見て
小さい声で私に言った
安田「俺の事は?」
「えっ?」
私は彼が何を言いたいのか分からずに
キョトンとしていた
彼は少しだけ恥ずかしそうに私を見ていた
私は頭をフル回転で必死に考えた
彼はなかなか言わない私にイライラしたのか
安田「俺の事はどう思ってるん?」
その瞬間にやっと理解した
私は勇気を出して彼に震える声で伝えた
「好きです、誰よりも」
私の言葉に彼はまた俯いた