• テキストサイズ

my self

第30章 幻




 それからしばらく経っても

彼からの連絡はなかったが



私は彼の事を少しだけ吹っ切りながら

過ごせるようになった時だった



その日は朝からレンタル屋の仕事に入っていた

何も変わらずに、店の軽く掃除をして

棚を整理していると


まだ、午前中にで本来なら

めったに人が来る時間ではないのに

店の自動扉が開きお客が入って来た


「いらっしゃいませ」


私は軽く挨拶をすると

棚の仕事を手早く進めていた

するとその客は何を思ったのか

私の側に寄って来のだ


私は何が聞きたい事があるのかと思い

仕事から目を離してお客さんを見た

その瞬間に驚いた



私の目の前にいたのは彼だったからだ



「あっ、えっ」


動揺してる私に彼は俯きながら

ゆっくりと口を開いた



安田「めっさずっと考えてた.....」



私はその一言で彼が

私に別れ話を伝えようとしてると察した


「ほんとうに、すいませんでした」


私は謝るだけで精一杯だった



彼の方は謝罪を聞いて何かを考えているのか

俯いたままだった



何も言わない彼に

私も声を掛ける事すら出来なくなった



しばらく嫌な重い沈黙が店に流れた

私はその空気を受け入れざる得なかった


しかし気まずさを消すように突然に彼が話しだした



安田「俺、ゆめちゃんが他の奴と

手を繋いでるのを見て頭に血が上った

確かにあの時の態度は悪かったと思ってる」



私は彼の言葉に返事の変わりに首を振った



安田「俺かて男やから好きな人が他の奴と仲良くしてたら

ムカつくし」


「はい、私が悪いんです」


彼の怒りを私は受けようと覚悟した


安田「まぁ、俺が仕事が忙しいから寂しい

思いをさせてるからってのもあるし」


「いえ、違います!私が悪いんです」


私の言葉に彼は私を見つめた



安田「なぁ、俺はゆめちゃんの口では

彼氏と言えん存在なん?」


「えっ?」


彼は私を強く見つめ続けた



安田「アイツに聞かれた時に

何も言ってくれんかったやん!」


「えっ、そ、それは」



私は、大きく動揺していた

彼が何に傷ついていたか知ったから

私の考えと違っていたから



安田「それは?」



怒った声で彼が私の言葉を反復した


/ 120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp