第29章 私の願い
その日から
私が何度、彼に連絡をしても返事はなかった
彼の返事を待つ日が何日も続いていたが
もう私もほとんど諦めていた
原因は私で、私が悪いので
仕方なかった
力なく毎日を過ごしていた
あのキャンパスの色も暗い色になっていっていた
出会った海岸で一人で過ごしていた
季節は暑くなっていて
もう泳ぎに来ている人もいた
二人で過ごしていた場所からも
人が泳いで楽しんでるのが見える
恋人の島が遠くに見えていた
二人で必ず行こうと言っていた島が
島を見ると私の胸は大きく痛みを発した
私は島を見るのが辛くってしゃがみこんで
足元の砂を手ですくっていた
すくいながら二人で砂の城を作った
あの時を思い出していた
私は幸せを自分で潰したのだ
もうどんなに頑張っても
もうあの時を取り戻す事は出来ない
私を好きだと言ってくれた
彼はもうどこにもいない
そう思うと涙が溢れてくる
人は愚かで間違いや失敗を繰り返して生きている
でも、一度の失敗で全てを失うと私は初めて知った
もう取り返す事の出来ない事を知った
私はどれだけ彼を愛していたか
どれだけ私は幸せな日々を過ごしてたか
彼の優しさに包まれていたかを
私をしって知って泣いていた
もし、私の願いが海の神に届くなら
もう一度ここで彼に会いたい
もう一度だけ
私の落ちてはこぼれる涙は
落ちては砂に吸い込まれていった
目の前に浮かぶ恋人の島は
涙で見えなくなっていた