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my self

第3章 帰り道





 私はスケッチブックを持ちながら

真っ暗な暗闇の中に歩く彼の背中だけが見て

砂浜を歩いていた


ふっと空を見上げると空には綺麗な星空が広がっていた


「綺麗....」


私の言葉に、前を歩く彼の顔も上がる


安田「うわぁ、ホンマやな」


しばらく星空をみながら二人で歩いていました


「街頭とかないから、よく見えるんですよね」


安田「そやなぁ、なんか得した気持ちになるなぁ」


彼は満面の笑顔で星空を見ていました


「本当に、そうですよね

嫌な事も忘れられそうですよね」



私は、小さくため息をついてしまいました

それは、この奇跡はもう終わってしまうかも知れない

悲しさからでした


すると、そのため息が聞こえたのか



安田「なぁ、明日も会える?」



彼の誘いの言葉に驚いてしまいました


「えっ、あっ.....」



私は、返事に躊躇した

そんな私に何かを察したのか


安田「うん? 用事があるんやたらええんやで

彼氏とかならそっちを大切にせんとアカンしな」


そう言うと、止めてた足を動かし始めたのでした



「ち、ちがうんです

明日は朝からバイトで、

夕方からは子供の絵画教室の仕事もあって」


私は、慌てて自分の身の上を伝えた



安田「大変やな...」



その一言が何故か重みがあるように感じたのでした

だから私は、わざと明るく言ってみせました


「夢を諦めたくなくって、足掻いてるだけなんですよ」



私の笑顔を見ると、優しい顔つきで



安田「そっか、バイトって何してるん?」



「この海の先にあるコンビニと、

商店街のレンタル屋を掛け持ちしてます

じゃないと生活出来ないんで」



私の話しを聞き、少し考えながら彼は



安田「それに、絵画教室もしとるん?」



「まぁ、それは週に2回だけなで、

趣味も兼ねてますから」


私は自分のスケッチブックを見ながら言った


安田「俺には出来んわ」



そう言うと、彼はまた星空を見るように顔を上げたのです









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