第26章 絵の具
私たちは部屋に着くと
彼に部屋に座っててもらってる間に
私は一人台所に立っち
何を作ろうかと悩んでいた
しかし、一人暮らしの冷蔵庫には
たいした材料しかなかった
「これで、出来るのは.....」
考えながら材料をテーブルの上に出してると
安田「なぁこれ、何なん?」
隣の部屋から彼が私に話しかけてきた
私は何の事かと思い
顔だけで部屋から覗くと
彼は私の大きいキャンパスを
興味ありげにマジマジと見ていたのだ
安田「これ、ゆめちゃんの作品?」
「あっ、それは.....」
彼に言われて
私は慌てって絵の所に走って行った
安田「なんか、端っこからの作品なんやね」
彼は不思議に思ったようで
私に問いかけた
「その、この作品は.....」
私は恥ずかしかったが
彼がこの作品に興味をもっているので
この作品の意図を説明してみた
話を聞いた彼は目を輝かると
安田「めっさええやん!」
「えっ、そうですか?」
彼が共感してくれたのが
本当に嬉しかった
安田「おん、なぁ、ちょっとだけ俺も描いてええ?」
彼は突然、嬉しそうな顔で提案してきた
私はその顔が可愛かったので
素直に頷いた
「あっ、はいどうぞ」
私の返事に彼は喜び
傍に置いてある絵の具の何色かを掌に
乗せ始めた
私は黙って見ていると
子供のような笑顔でキャンパスの真ん中に
色んな絵の具が付いてる手を押し付けた
満足した顔をすると
キャンパスからそっと離した
そこには色んな色が無規則に並んでる
手形が出来上がっていた
彼は得意げな顔を私に見せると
安田「次は、ゆめちゃんも」
そう言うと突然に私の腕を掴み
強引に何色かの絵の具を掌に同じように乗せると
キャンパスに私の手を思いっきり押し付けた
「や、安田さん....」
私は彼の行動にどうしたらいいか分からずにいた
彼はそっと私の手をキャンパスから離させた
そして得意げに
安田「ほら、見てみぃ」
彼の言葉の通りに見てみると
キャンパスの真ん中に天使の羽根のようなモノが
無造作の色で出来上がっていたのだ