第21章 味方
次の日の早朝に私は海に訪れていた
昨夜はやはり考え過ぎで眠れずにいたので
気分を変えるつもりで来たのでした
朝の海には時々犬の散歩の人が
私に挨拶をしてくる
私も挨拶を返して微笑んでいた
朝の空気は気持ちがいい
暗い心すら清々しくしてくれるように
今日は、午前中も午後も仕事があるが
私は自分の気持ちを整えるように
砂浜をゆっくり歩いていた
その時、私の耳に楽器の音が聞こえてきた
「こ、これは....」
私はまさかと思いながら
音のする方に足を進めた
音をたどって行くと
二人で会っていた場所に近づく
私の胸はどんどん痛くなっていた
私の考えがそうなら
なぜ居るのだろう
その疑問も生まれてくる
いつもの場所に来て驚いた
彼がいつもの場所でギターを弾いていたのだ
「や、安田さん!」
私の声に彼は驚いて
ギターの手を止めて振り向いた
安田「ゆめちゃん、どないしたん?」
「どないしたんじゃないですよ
何をしてるんですか?」
安田「仕事までにゆめちゃんへの
曲を作ろうと思ってな」
「って、安田さんもう朝ですよ
今日は朝から仕事なんですよね」
安田「へぇ?」
私の言葉を彼は聞くと眠そうな目で
周りを見渡し、目を見開いた
安田「うわぁぁぁ、明るくなってるやん!」
「だからもう朝なんですって、
それより、し、仕事は」
彼は慌てて時計を見た
安田「やばい!遅刻してまうやん!」
「い、急いでください」
私も彼の帰り支度を手伝いながら言った
安田「ゆ、ゆめちゃん
ほんまにごめんなぁ」
「そんなのは、いいですから急いでください」
安田「お、おん」
安田さんは、荷物を持つと二人で走った
彼の車まで必死で
時々、砂浜に足を取られそうになりながら
大変だったが、二人で何故か笑っていた
一緒にいる事が楽しかったから
笑いながら走り続けていました