第17章 悲しみ
私は仕事が終わると
急いで帰る準備をして同僚に簡単に挨拶をすると
店を後にしたのだ
そして、二人で会っていた海にやって来ていた
ここならまだ、シーズンではないので
人はあまり居てないからだ
海は私の気持ちとは裏腹に変わらず穏やかだ
悲しいほどに.....
私は周りを気にしながら
彼に同僚から聞いた話をLINEで打っていた
彼はこの話を知ったらどう思うのだろうか
もしかしたら私以上に心を痛めるのだろうか
でも、何も知らないで
ここに来て誰かに見つかるなら
もう彼と会えなくなる事も覚悟としていた
私は、辛い気持ちを押して送信を押した
もう彼と会えない事がこんなに悲しいとは
私の目の前に恋人の小島が見える
今日の私にはかすんで見える
それは涙が私の目から出ていたからかもしれない
私は涙を拭きながら歩いていた
二人で城を作った場所に
そこにはもう、城はなくなっていたが
あの時と変わらず優しい空気が流れてる
彼の弾いてたメロディーが聞こえてくるようだった
私は、こうなってやっと
自分がどれだけ幸せだったかを気が付いた
こんな風に会えなくなる事なんて考えていなかった
きっと彼はもうここに来る事なんてないだろう
そして、私の事なんて
忙し毎日が忘れさすのだろう
なら、ちゃんと自分の気持ちぐらいは
伝えておけば良かった
相手の迷惑なんて考えないで
そうしたら、こんな後悔なんてしないのに
私はこぼれる涙を必死で拭いていた
そして、手に持っていたスマホを確認した
送った文章に既読が付いていた
彼は知ったのだ
私は大きなため息を付いた
彼は何と言ってくるのだろうか?
それを思うとため息しか出なかった