第14章 おにぎり
私は一人で、彼が置いた
おにぎりを並べていた
隣の部屋から電話で話しながら
笑っている彼の声を聞いて考えていた
彼は世界の違う人なんだから
馬鹿な事を言わなくって良かった
彼の買って来てくれた色んな種類のおにぎりを
見ながらため息をついていると
電話を終えた彼が笑顔で戻って来た
安田「めっさお腹すいたよなぁ」
そう言うと並べてある、おにぎりを一つ取った
私は黙ってお茶を入れたのを
彼の前にそっと置いた
安田「ゆめちゃんの好きなんはどれかなぁ?」
そう言うと、おにぎりを指して楽しむように
私に聞いてきた
「えっと、こんぶです」
安田「めっさ、渋めやん」
「えっ、そ、そうですか?」
安田「嘘ぉ~っ」
そう言うと、笑いながら 昆布のおにぎりを
私に渡してくれた
「安田さんって、時々 意地悪ですよね」
私は受け取りながら言うと
彼は驚いた顔で答えた
安田「えっ、そうかなぁ?」
「そうですよ」
すると彼は、少しだけ口の端を上げて笑い
安田「まぁ、好きな子には意地悪するんは男やからなぁ」
「えっ?」
驚く私を返事が聞こえてないのか無視して
彼はおにぎりを食べ始めました
私はその様子に、何も聞けずに
どうしていいか分からなくなっていた
安田「ほらぁ、早よ食べんと」
そう言って彼は私の気持ちなどお構いなしに
無邪気に笑いながら食べていました
私は手にしてるおにぎりを口に入れましたが
昆布が私の心の涙が交って少し
しょっぱかった
彼の気持ちを思って
私は複雑な思いで彼に向き合っていました