第14章 おにぎり
私の心は大きく暴れ出していた
どう落ち着けていいか分からない時だった
沸かしていたやかんが沸騰した
私は慌てて火を止めてお茶を入れようとしたが
心の動揺が影響して
ポットに入れるはずのお湯を外してしまい
自分の腕にかかってしまった
「熱っ!!!!」
その私の声に彼は驚いて
無言で私の腕を掴むと急いで蛇口ひねり
思いっきり水を出し強引に腕をつけたのでした
安田「大丈夫?
直ぐに冷やしたら痕にならんからな」
そう言うと流水に自分の腕も濡れながら
冷やし続けてくれました
「す、すいません....」
私は、申し訳なさそうに言いました
海でもそうだけど、いつもこんな自分が
嫌いだった
安田「ええんやで、でも気をつけなアカンで」
「はい......」
嫌いで悲しかった
そんな私に気が付いた彼は
安田「どなんしたん、元気ないやん」
私は答えられなかった
それを伝えたら迷惑になるから
この幸せな関係も終わってしまうから
「なんでも、ありません.....
本当にありがとうごさいます」
私は、そう言うと彼の掴んでる腕を引き
そっと蛇口を閉めた
安田「なぁ、ゆめちゃん」
彼は真剣な顔をして私を見た
怒っているのかもと私の心を不安が占め始めた
安田「俺さぁ、アホやからさぁ、ちゃんと言ってくれな
分からんね、だからな何でもええからさぁ
そこにあるモノを言葉にしてくれへんかなぁ?」
そう言うと私の胸をそっと指したのでした
私は、その彼の真剣な顔を見て
自分の気持ちを言って
彼の気持ちを聞きたかった
この人なら、私の気持ちをもしかしたら
ちゃんと受け取ってくれるかもと
甘い考えが生まれ始めたのだ
「あのぉ、実は私.....」
私は勇気をだして伝えようとした
その時
彼のスマホから着信音が鳴ったのでした
安田「悪い、ちょっと待っててなぁ」
そう言うと彼はスマホを持ちながら
部屋の奥に行きました
一人取り残された私は
拍子抜けしていて
何故か悲しくなっていました