第14章 おにぎり
翌朝に私が目を覚ますとベットで寝ていた
はずの彼はどこにもいなかった
私は、体調が心配で連絡を取ろうと
スマホに手をだした瞬間
玄関の扉が開く音がしたので
慌てて走って行くと
すっかり元気になった彼が靴を脱ぎながら
安田「ゆめちゃん、おはよう」
「安田さん、熱の方は?」
彼は私の言葉に笑顔で
安田「ゆめちゃんの看病のおかげで、
起きたらスッキリしてた
やから散歩にでかけてきたんやぁ」
そう言うと手に持っていたビニール袋を見せた
私は不思議そうな顔でいると
安田「朝ごはん! 食べるやろぉ?」
「えっ?」
そう言うと嬉しそうに立ってる私の前をすぎて
家の中に入る彼に
「安田さん.....」
私は、彼の腕を掴んだ
その事に驚いた彼は動きを止めた
「身体を大切にしてください....お願いします」
彼にあんな辛い思いをさせたくなかったのだ
だから、私は俯きながら伝えた
安田「ほんまに ありがとうなぁ
そんなに心配してくれて」
私の頭を優しく撫でた
「心配しますよ...そりゃあ....」
安田「うん?」
彼が不思議そうな顔で私を見た瞬間に
私は我に返った
自分の気持ちを知られてはダメだと
「お腹が空きましたよねぇ、早く食べましょうか!」
私は自分の赤い顔を見られないように
隠しながら台所に立ちました
そんな私の気持ちを知らない彼は
隣に来て
安田「おにぎりを、めっさ買ってきたんやで
好きなのはどれやぁ?」
袋の中の商品を子供のように見せてきた
「えっとぉ....」
私は自分の気持ちを抑えるように
袋の中のを見た瞬間に驚いた
「や、安田さん....」
袋の中の色んな種類のおにぎりで一杯だったのだ
安田「やって、ゆめちゃんの好きなの
分からへんから、全種類を買うてきたん」
「えっ」
安田「えらい出費やでぇ」
私は呆れながら袋の中を見ながら
「そりゃ、これだけ買ったら....」
安田「ええやん、俺の気持ちやから」
私が驚いて顔を上げると彼は知らんぷりして
ビニール袋をテーブルに置き
安田「早く朝ごはんにしようやぁ」
そう言うと嬉しそうに笑いました