第13章 月夜
彼は車のドアを開けると運転席横から
スマホを取り出し画面を見た
安田「うわちゃ、めっさ着信入ってるわ」
そう言うと、スマホを耳にあてた
私は話が聞こえない所まで離れようとすると
安田「ゆめちゃん、離れたら危ないから
こっちにおいで!」
「でも、大切な話なんでしょ?」
安田「ええから!
あっ、こんなに遅くにすいません安田ですぅ」
電話相手と話ながらも
必死で私に近くに来るように手を動かしていた
気恥ずかしい気持ちで私は
近くに移動しました
話しの内容が耳に入って来ましたが
聞かないようにしました
この人の彼女なら
こんなに大切にされるんだ
いつも、彼女の身を心配してくれて
そして優しのにどこか強引な所があって
誰よりも男らしい
そんな事を考えていました
安田「ほんなら、すいませんが明日は休ませて下さい
明日の夕方にちゃんと連絡入れますんで
あと、メンバーには俺から連絡しときます」
そう言うと彼は電話を切るなり私に
安田「夜は危ないから、離れたらアカンで」
「はい....」
彼の優しさが嬉しかった
安田「ゆめちゃん、もう少しだけええ
メンバーに連絡せんとアカンねん」
そう言うとスマホを使いだした
私は待っている間に空を見ていた
あの時のように星が私たちの上で光っていた
あの時と違っていて
二人の距離は少しだけ縮まっていると思うのは
私だけなんだろうか?
彼の気持ちはどうなんだろ
そう思った時に
安田「ゆめちゃんお待たせ~っ、終わったから帰ろうか?」
そう言うと車の扉を閉め、私の所に歩いて来た
私は自分の心の整理が出来なくなっていた
あたふたしながら頷いていた
安田「うん?どなんしたん」
「いえ、何でもありません、早く帰って休みましょう
また熱が上がったら大変ですから」
安田「おん、そうやね、お世話になります」
そう笑顔で答えたでしたしたが
「いえ、私のせいなんで.....」
私の言葉に、彼の動きが止まった
安田「えっ、どういう事なん?」
私は俯きながら答えた
「あの夜に私が海にはまってしまったから...」
私のその言葉に彼は何も答えなかったのでした