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my self

第13章 月夜




 私は夜道を急いで彼の車に向かっていた



もう後悔したくなかったのだ

彼に無理させてあんな風になって欲しくなかった


だから、この怖い夜道も必死で歩いていた


彼の辛い顔を見るくらいなら

この怖さもへちゃらだった



そしたら、後ろから声が聞こえた



安田「ゆめちゃ~ん」



私は驚いて振り向くと

安田さんがフラフラしながら走って来ていました



「安田さん、寝てなきゃダメじゃないですか」


私の言葉に彼は照れ臭そうに


安田「ゆめちゃんさぁ

鍵の解除の仕方を聞かんと行ったからさ

警報機なって驚かせてまうなってぇ」


「えっ」


驚いてる私に



安田「もう、一緒に行こう?

俺も心配で寝られんしさ、やっぱり」



そう言うと、まだ少し熱のある熱い手で

私の手を握ってきました



安田「迷子にならんようにな」



恥ずかしそうに言う彼に私は笑いながら



「誰もいてないから迷子にならないと思いますが」



安田「ちゃう、暗いからやん」



「ふふっ、そうですよね」



私は、優しい彼の手の熱さを感じながら


彼の身体の事を考えて

ゆっくりゆっくり歩きました



月が二人の歩む道を優しく照らしてくれてました



安田「ゆめちゃんてさぁ、強かったんやね」



「えっ、何がですが?」



安田「空手....」


私は少し気まずくなりました



「あれ、嘘なんです」



安田「えっ?」



「ああ言わないと行かせてくれないと思って」


私は彼に嘘を付いた事に申し訳ながったが

自分の気持ちに悪いとは思ってませんでした


すると彼は突然に笑い出したのです


安田「ゆめちゃんめっさ強い人やって

本気で驚いたんやでぇ」


「本当にすいません」


私は頭を深く下げた


安田「ううん、ええねんで

俺の身体を心配してなんやろ?

ほんまにありがとうな」


そう言うと、顔をくしゃくしゃにして笑ってくれた


その顔に私は何故かホッとしていた


安田「二人で歩いてたら、ほんまに直ぐやね」


そう言うと、海沿いの道に置いていた

車に彼は近づいて行った



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