第12章 熱
仕事が終わり、私は海に向かっていた
相変わらず海は静かに波を打ち寄せていた
私は、眩しそうに沖をしばらく見ていたが
自分が描く場所は決まっていたので
足元の砂をかき分け
彼との過ごした時間を思い出しながら
その場所に動いた
いつもの場所には、あの思い出の砂の城は消えていたが
私の心には、しっかりと今も描かれてる
いつもの場所にゆっくりと座り
スケッチブックを広げると
彼が作ったお城のスケッチが目に入った
「本当に素敵な人.....」
私は自分が描いていたページをしばらく見つめていた
私の夢を諦めさせない為に作ってくれた
彼の思いも私の胸の中で
しっかりと残っていた
「素敵なモノは決して消えないんだね....」
そうつぶやくき何も描かれていないページを広げて
私は鉛筆を走らした
目の前に広がる海を
私の上に広がる空を
私の心に広がる思いを
何ページも描き続けていた
私が気が付くと、辺りは夕方に真っ赤になっていた
目の前に広がる綺麗な夕日を見つめ
大きなため息をついた
安田「めっさ綺麗な夕日やねぇ」
私はその声に驚いて急いで振り向くと
笑顔の彼が立っていて同じように夕日をみていた
「本当に綺麗ですよね....」
私はまた夕日を見ながら彼に言った
彼はその私の言葉に嬉しそうに微笑んでいた
安田「ゆめちゃん、風邪は治ったん?」
言いながら、いつものように隣に座りました
私は、隣にいる彼に笑顔で答えた
「はい、すっかり良くなりました」
安田「ほんまに良かったわぁ、これで安心や」
私は、なによりも嬉しかった
また彼とのこの時間が始まる事が
安田「そやぁ、まだプレゼントする曲ができてないねん
もう少しだけ待ってなぁ」
彼の言葉に驚いた
いつからプレゼントになったのだろと
「えっ、安田さんプレゼントって?」
私は焦っていた、話が大きくなっていた事に
「期待してるって送ってきたやろ?
やからな素敵なの作るから待っててなぁ」
私の心臓が彼の言葉で大きく動く
彼の微笑みが私の頬を夕日のように赤く染める
「う、嬉しいです....」
私は自分の気持ちを素直に伝えた
その瞬間に私に寄りかかってきたのでした