第9章 勇気
私は家に帰り着くと押入れで探し物を始めた
画家になろうと決心した時に買ったモノで
長い時間住んでる間に他の荷物たちに押されて
押入れの一番奥に追いやられていた
私はそれを見つけると誇りを払いながら
ゆっくりと押入れから出した
大きな白いキャンパス
本当に描きたいものが出来た時に
これに描こうと決めてたのだ
今なら描けると思い
真っ白のキャンパスを手に取りながら
構想を練っていた時にスマホの通知音が耳に届いた
それは彼からだった
安田《おつかれさまぁ~っ(*゚ω゚)ノ
ここでもよろしくな
それより一個聞いてもええ?
前から聞きたくって、困ってたん》
その安田さんの文字を見て
私は不思議に感じながら返事をした
《よろしくお願いします。なんでしょうか?》
それから、待っても彼からの返事が来なかった
私の中に変な不安が生まれ始めた
私は何か困らせる事をしたのかな?
もしかして、風邪がひどくなったのかも?
私はスマホを睨みながら考えた
もしかして電波が届かなくなったのかもしれない
だからスマホを動かしてみたり
なぜか振ってみたり
後から考えると馬鹿な事をいろいろして
返信を待っていたのでした
しかし風邪薬のせいもあったのか
知らない間にその場で眠ってしまったようでした
どのぐらい眠ったのか
身体が感じる寒さで目が覚めて時計を見ると
夜中になっていたのでした