第4章 客
突然の彼の言葉に驚いて見ている私を
彼は無視するように
安田「う~ん、記入したらええんやな」
そう言うとその場にあったペンを持ち
静かに記入始めた
少し鼻歌まじりで記入していく彼を
胸の痛みを抑えながら
私は静かに見守っていた
安田「書けたでぇ」
そう言うと私に記入してくれた紙を渡した
受け取る手も微かに熱くなってる自分がいた
「ありがとうございます」
急いで私は
記帳の住所と電話番号をパソコンに登録すると
カードを彼に渡した
「期限は何日にしますか?」
私はパソコンを見ながら彼に伝えた
安田「そうやなぁ、明日から仕事やから3日にしといて」
考えながら私に言った
「わかりました」
レンタル屋の会話を淡々と続けていた時に
突然、彼は拗ねた感じで
安田「なんかつれないなぁ、
せっかく俺、会いに来たんやでぇ」
「えっ」
私は真剣に見つめる彼に
身動きが出来なくなっていた
安田「俺さぁ、あのままで終わりたくなかってん...」
その途端に、私の鼓動が激しく動き出す
「あ、あのぉ....や、安田さん....」
顔を真っ赤にしている私を彼は見て
少し意地悪ぽく笑った
安田「3日後か、
また返しに来る時に会えるなぁ」
にっこりと子供のような笑顔で笑って伝えてきた
「あ、あのぉ.....」
どぎまぎしている私に彼は
そっと手を伸ばして私の頭を撫でた
安田「またなぁ」
そして、背中を私に見せ
右腕を上げて
ゆっくりと店を出て行ったでした
私は予測も出来ない出来事に
夢ごごちで立ち尽くしていたのでした