第9章 かたちあるもの
布団に運び…そこにそっと横たえると、僕は有希ちゃんを組拉くようにして覆い被さった。
「怖い?」
有希ちゃんの髪を撫でながら僕がそう問うと、有希ちゃんはまだ涙を溢していたけど微かに笑って答えた。
「少しだけ……怖いです。
でも、沖田さんに触れられなくなる方が…もっと怖い。」
その健気な笑顔に僕の心臓は益々高鳴り
「可愛いなあ……そんな顔を見せられたら堪らなくなる。」
浅く深く、角度を変えて何度も口付ける。
有希ちゃんは身体を強張らせながらも、それに必死に応えてくれた。
「有希ちゃん……舌…出して…」
虚ろな目で僕を見上げる有希ちゃんの唇が微かに開いて、紅い舌先が僕に向かって差し出される。
「そう………良い子だね…」
その舌先を僕の口腔で包み込み、ちゅうちゅうと音を立てて吸い上げると、有希ちゃんはもどかしそうに僕の寝間着を掴んですがり付いて来た。
「これ……邪魔だよね。」
僕が手早く自分の寝間着を脱ぎ捨てると、有希ちゃんの頬が益々桜色に染まって熱を帯びた視線を向ける。
「どうしたの?」
そう問うと有希ちゃんは
「……触れて…いいですか?」
と、躊躇いながら手を伸ばして来た。
僕がにっこりと笑って「いいよ」と答えると、有希ちゃんの指先がおずおずと僕の鎖骨を撫でて…
「………綺麗…」
熱に浮かされたように目を潤ませて呟く。
暫く有希ちゃんのしたいようにさせていたけど、その内に僕の方が我慢出来なくなって、僕の身体を撫で続けている有希ちゃんの手を絡め取り布団に縫い付けた。
「綺麗なのは…有希ちゃんの方だよ。」
有希ちゃんの首筋に口付け、そこから胸元へゆっくりと舌を這わせる。
過去に平助が散らした紅い跡が一瞬脳裏に浮かんだけど…僕はそんな理性なんか圧し殺して有希ちゃんの滑らかな肌に夢中になっていった。