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薄桜鬼~最愛~

第4章 再生


不知火さんが行ってしまうと、原田さんは真剣な目をして私の顔を覗き込んだ。

「風間が求婚って……どういう事だ?」

私がついさっき土方さんの部屋であった出来事を話すと

「……くっそ…俺達に黙ってそんな話になってやがったのか…」

と原田さんは唇を噛んでから…一つ溜め息を漏らして肩を落とした。

「しかしなぁ……
 近藤さんや土方さんが言ってる事も正論なんだよな。
 俺だって明日はどうなるか分かんねえ身だし…
 こんなとこに有希を置いておいても、
 きつい思いをさせちまうだけかもしれねえな。」

確かに最近の京は益々不穏な空気に包まれている。

巡察に出た新選組の隊士が怪我をして帰って来る事も多くなって、そんな姿を見る度に私も胸が締め付けられて苦しかった。

……でも……私は………

「そりゃ、有希が此処から居なくなっちまうなんて事になったら、
 俺も新八も…きっと総司だって寂しいけどよ……」

「本当ですかっ?」

勢い良く聞き返した私に、原田さんは目を丸くした。

「あ……ああ、本当だ。
 有希が居なくなったら寂しいぜ…俺は。」

私はもじもじしながら、もう一度問い返す。

「あの……沖田さんも……でしょうか?」

原田さんは少し驚いたような顔をしたけど、すぐににっこりと笑って言ってくれた。

「勿論、総司だって寂しいに決まってる……絶対だ。」

私は何だか照れてしまって、はにかみながら原田さんを見つめると、原田さんは私の頭をくしゃくしゃと撫でて

「やっぱり……落ち着くとこに落ち着くもんだな……」

と独り言のように呟いた。

その言葉の意味は良く分からなかったけど……私はその足で土方さんの所に向かった。
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