第5章 デパート大作戦
暫くしたのち、ドタドタという足音が聞こえてきた。
キ「やっと警察のお出ましか…面倒な事になる前に帰るぞ」
シ「おう。…カナ、立てるか?」
シンタローさんが手を差し伸べてきた。
その手を取りたいところなのだけど、今回は血を流しすぎて、目眩やらなんやらが酷い。
『……すいません…貧血で、動けないです…』
キ「大丈夫か?カナ。俺がおぶって行こう」
シ「キド…お前、背負っていけるのか?」
キ「お前よりは体力があるからな、シンタロー」
ははっと笑いながら言うキドに、シンタローさんはうるせえな、と言った。
その光景が面白くて思わず笑ってしまった。
それに気づいたシンタローさんが苦笑いを浮かべる。
シ「カナ…お前なあ…」
『え?あ…すみません、面白くて…』
キ「ほら、二人とも。お喋りは後にしろ」
キドはそう言って、私の手を引き起き上がらせる。
シンタローさんが無言で手伝ってくれて、私はキドの背中に乗った。
『キド…重くないですか…?』
キ「大丈夫だ。むしろ軽いぞ、ちゃんと飯食え」
『はい…』
そんな他愛の無い話をしながら、私達はデパートを後にした。
エ「…ご主人、せっかく男を見せるチャンスだったのに、団長さんに取られちゃいましたねぇ。もったいない」
シ「っ…うるせぇ…」
エネさんとシンタローさんの間で、そんな会話がされていたことは、勿論私は知る由も無いわけです。