第5章 ◆名取の札
「さな、今帰りか?」
詩滝の毒気を放った妖気に当てられ
数日寝込む事となったさなは
やっと熱が下がり、登校できるようになった。
「 はい、
先輩も帰りですか?」
部活動をしている他の生徒に背を向け歩く中
背後から掛けられる声にさなは振り向き
ニッコリと答えた。
「あぁ、良かったら送ってくよ。
病み上がりで帰宅途中に倒れられたら心配だ。」
夏目は少し悪戯っぽく言うと
さなのありがとうございますという礼を聞き
前を歩き出す。
「 今日はニャンコ先生居ないんですね?
せっかくだから、お礼も兼ねて
七辻屋でも寄ろうかと思ったんですけど。」
「礼?
どの礼を兼ねてるんだ?」
さなが寝込んでいた際
夏目とニャンコ先生が
見舞いがてら友人帳の名前の返還に
協力してくれていた為、
そのお礼です。とニッコリ笑う反面
ニャンコ先生居たらなあと
不服の表情を浮かべるさなだった。
その姿に夏目はふっと微笑むと
「ニャンコ先生が居たら
お金も時間も足りなくなるぞ。」
そう注意をし
七辻屋の方面へ足を進ませた。