第16章 ◆雨乞儀式
ザーザーと
鳴り止まない雨の音。
それは、
勢いを緩めること無く
ひたすらに鳴り響き
強い雨足で、
今日も降り続いていた。
「 はぁ、
雨、ずっと降ってるなぁ⋯」
外を見あげてそう言うのは
窓枠に頬杖を付きながら
どこか嬉しそうに呟くさな。
「 ほんとー!
もう、やだ。この雨。
ついこの間まであんなに晴れてたのに!
靴下びちょびちょになっちゃう。
って⋯、
なんで嬉しそうなのよ、さな?」
さなの呟きに乗った実代が
靴下を指差し眉を顰める。
しかし、
目の前の清々しく晴れた表情のさなに
靴下からさなへと指を差し替えて
首を傾げた。
「 んー、⋯それは秘密。」
実代の問い掛けに
困る素振りもなくへへっと笑って
空を見上げ続けるさな。
「 何よそれ、
さなはいつでも楽しそうねー。」
そう言ってひとつため息を零しながら
実代はさなの隣へ付き
さなの同じポーズを取る。
そして、
同じように窓から空を見上げた。
「 さな、
雨が止んだら
どこか遊びに行こっか。」
「 うん、そうだね。」
ー⋯だけど、
もうしばらくは
この雨を堪能したいなぁ。
私が降らせた雨。
ふと、廊下の先に視線を向ければ
同じ格好で空を見上げている
夏目の姿がさなの目に写った。
「 ⋯。」
ー⋯、
私 たち が降らせた雨。⋯だね。