第4章 ◆二人きり
ーピンポーン……
「……」
いつものように
慣れた手つきでチャイムを鳴らすが
応答がない。
「出掛けてるのか?」
夏目は数回鳴らしたチャイムから離れると
さなの家の中の様子を伺う。
ーシーン……ー
日も暮れつつある中
電気も付かず静まり返っている家の様子に
誰しもが留守と思う中
「……気配はあるな。」
「ニャンコ先生もそう思うか?」
ニャンコ先生のその言葉に
実は俺もなんだ。と付け足しながら
夏目は妖の気配を辿り、門扉をくぐった。
町の外観とは少し不似合いな
洋風な造りをした玄関ドアに手を掛けると
カチャリと音を立て無抵抗に開いた。
「鍵がかかってない…?」
家の人はほとんど留守にしていると
さなが話していたことを夏目は思い出し
「さな、居るのか?
居るんだったら返事をしてくれ…!」
妖の気配を強く感じながら
そう呼びかけるも、一向に返事はなく
夏目は嫌な予感が溢れると
一目散に2階のさなの部屋へと向かった。