第3章 ◆二人出会
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「望月さんー!
良かったらお昼一緒にどう?」
新しい高校に通い始め、はや三日目。
学校での緊張も大分解れてきた頃、
転校して初めて会話をした
隣の席の女子生徒が
席を移動してきたもう1人の女子生徒と共に
ニッコリと笑みを浮かべながら
さなを同じ輪に誘う。
「 今日は先生に呼ばれてて
園村さん、ごめんなさい・・・!」
まだまだ慣れない高校生活の中
友達が出来そうなチャンスを逃してしまうことに
さなは肩を落とした。
その姿に園村がクスッと笑うと
「そんな悲しそうな顔しないでよー!
お昼なんてどんだけでもあるんだから。
転校したてで今は色々と大変だろうし、
落ち着いたら一緒にお昼しよ。」
半分は慰めるように
さなにそう諭すと
その言葉に
さなは喜びの表情を露にした。
「あと、ワタシのことは
園村さん じゃなくって
実代 って呼んでね。
ワタシもさなって呼ぶから。」
その初々しい遣り取りに
さなは喜びながら頷くと
筆記用具類が入った鞄を手に取り
じゃあ行ってくるー。と
手をひらひらさせながら
軽い足取りで職員室まで急いだ。
「 よし、明日からお弁当作ろっと。」
そう意気込み
数回通った職員室までの道のりを
足早に進んだ。
如月の名を返還したあの日から
噂を聞きつけた妖に、夜な夜な訪問されては
友人帳の名の返還に応じていた為、
さなは寝不足と体力減少で
今にもめげそうな日々を送っていた。
「 友達が居たら、疲れ知らずだ。」
先程の実代とのやりとりを思い出し
これからの生活を意気込んだ
その時ー…
ピンと妖気を感じ取り
回りを見渡すと
窓の外から大き目の妖が
こちらに手を振っているのが見えた。