第8章 ◆田沼ノ寺
「 それより、あの
ずっと気になってたんですけど・・・」
田沼に飛びかかるニャンコ先生を
必死に止める夏目とで
ごった返している目の前の光景に
恐る恐る声をかけるさな。
「 ・・・ん?」
夏目がなんとか
田沼からニャンコ先生を引き離すと
田沼が1番にさなへ返事をする。
「 ニャンコ先生って、
いつから居たんですか?」
「「・・・・・・・・・」」
確か、地下で会うまで
居なかった気がする・・・。
そう呟きながら頭を傾げるさなに
夏目と田沼もお互い目を合わせた。
「そういえば、、、」
「 ・・・そうだな。
いつの間にか、夏目の肩に
乗っかっていたな、ポンタ。」
「 あれ、
お二人とも知らないんですか?」
そう互いに目を合わせ
少しの沈黙が流れた後、
その3人の視線は夏目に抱かれた
ニャンコ先生へと移動した。
「うむ、
本当は七辻屋の新作をお呼ばれしようと
夏目の鞄に居てやったのだが。
気付けばこーんな
胡散臭い所に連れてこられて
腹が立ったので猫パンチでも食らわそうと
夏目を捜していたら
妙な妖に絡まれるさなを見つけたのだ。
折角助けてやったというのに、
饅頭でも出てくるのかと思いきや
気の利かん奴だな、田沼よ。」
ギロリ、と目を饅頭にさせ
田沼を睨むニャンコ先生に
田沼は一瞬体をビクつかせる。
「結局、それは
・・・饅頭目的じゃないか、先生。」
腕の中に居たニャンコ先生を
グリグリと拳でこねる夏目。
その額には青筋が数本見えていた。
そして、
「 勝手に鞄に忍び込むなって
何回言ったら分かるんだー!!」
その声と共に
ニャンコ先生は窓から空へと
飛ばされていた、
それも
飼い主の夏目によって・・・。
「 なーーーッッ!!
私は用心棒だぞーーー!!」
その声も聞こえたのか
聞こえてなかったのか。
「 ありゃりゃ。
あっちは七辻屋じゃないのに・・・。」
そう呟くさなに対して
夏目と田沼が転んでいるのは
さなに知る由もなかった。