第2章 ◆新友人帳
“小娘!待てぃ!
それを寄越せ!
友人帳を寄越せ!レイコ!”
「 ハァハァ、……どうして私が…?」
……私はレイコじゃない。
さなは
異様な程に口が裂けている妖に
追いかけられながらも
膝下から流れる血を止めることなく
ただ、只管走り続けていた。
……ー、事の発端は
さながこの町に越してきて
祖母の遺品だと叔母から受け取った
友人帳という古びた冊子のせい。
両親が離婚し母方に引き取られた後、
母親が病気を患いこの世を去った。
その時にさなを引き取る先々で
ちょっとした揉め事が多かったのは
さなの従兄弟に当たる
夏目貴志というさなの1つ年上の男の子が
さなの前にお世話になっていたからだ。
その夏目という少年は
さなと同じ両親がおらず
時折、変な事を言ったり嘘を並べ
結構気味悪がられていたそう。
そのお影で親戚一同は
さなを引き取ることをも拒絶していた。
……ーそう、私も見えるから。