第7章 ◆花火祭り
布団へさなを寝かせた後
微動だにせず静かに寝るさなの姿を
傍らでぼーっと見つめる夏目。
ー・・・さなは、どう思っているだろうか
・・・・・・・・・・・・俺の事を。
カチコチと時計の秒針が鳴り響き
外では時折
鳥のチュンチュンという鳴き声が
音を奏でる。
「 ・・・・・・・・・って!
何考えているんだ!俺は・・・!」
胸の内に吐き出す疑問に対して
ハッと我に返る夏目は
頭をブンブンと横に振り、
疑問を振り散らした。
「 はぁ、
今を大切にしたいって言ったばかりなのに。
・・・さな。」
改めてさなを見つめ
夏目は眠るさなの頭を撫で
優しくその名を呼ぶ。
そして
「 ・・・ッ。」
ふと目に付く、
さなの少しだけ肌蹴た浴衣の裾から
覗く白い素肌。
その姿が夏目を赤面させた。
「 ・・・!」
慎重な手つきで浴衣を直してやると
その上から優しく布団を掛け
視線をさなに落とした。
スヤスヤと眠っているさなの頬に
夏目は無意識に手を添える。
「 ん…。」
擽ったそうに、それでいて心地よさそうに
表情を緩めるさなに夏目も自然と顔が綻ぶ。
「今日は、ありがとう。」
それだけ言葉を残すと夏目は立ち上がり
さなの部屋を後にした。
「 はぁ、」
自室に戻る前に大きな溜息を一つ吐き意気込む。
その後、さなの扱いとは真逆の態度で
散らかった妖たちを強制退去させた夏目は
後日、西村と笹田から
事後報告を強要させられるのは言うまでもなく、
「結局、妖絡みだったけど… 」
「 とても楽しかったですよ、夏目先輩。」
そういって笑って話せる良い思い出になったのは
夏目とさなの二人だけだった。