第4章 俺がアイツで、アイツが俺で 【前編】
ーSIde 高尾ー
高3の夏休み、今日もやっときっちー練習が終わって俺の愛しい愛しい夏美ちゃんとさあ帰ろう!
とはせずにいつもと同じように真ちゃんと居残り練習を今日もする。
そんな俺達を横切る2人の女の子達がいた。
「じゃあ、頑張ってね。カズ君、真ちゃん!!カズ君はまた明日ね!」
「高尾先輩、緑間先輩、頑張ってくださいね。お先に失礼します。」
そう、俺達に元気良く手を振り笑顔を向ける夏美と対照的に静かに微笑みお辞儀をする一つ下の後輩マネの多恵ちゃん。
…あの大坪先輩の妹ってのがマジ驚きだよな。つーか、全く似てねぇ!!
余りにも対照的な2人だけど、どっちもそれぞれの魅力があって俺のみならず男バスの殆どが彼女達に夢中だ。
お陰で部員達のやる気が半端なく、今年はIHに優勝したんだ。
男って本当単純。でもってマジで2人に頭が上がらない。てか、寧ろ秀徳の女神!
「おう、気を付けてな!かわいこちゃん達!」
俺はこの愛らしい2人の勝利の女神に向かってついウインクし投げキッスをすると、3人から一斉に大ブーイングを受けてしまう。
「カズ君、チャラい!!」
「高尾、チャラいし気持ち悪いのだよ。」
「高尾先輩、チャラいですよ!!」
「おいおい、多恵ちゃんまでひでぇぜ!だって夏美も多恵ちゃんも可愛くて仕方ないんだよ〜。」
と口を尖らせていじけてみるものの俺は全然堪えてない。むしろ3人が声を揃えて同じような事を言ってるのが可笑しくてたまんねー。
「カズ君!さり気なく多恵ちゃんを口説かないの!」
夏美は庇うように多恵ちゃんの前に立って頬を膨らませる。
もしかして、妬いてる?夏美、超可愛いんですけど!
俺は夏美の顔をニヤニヤしながら覗き込む。
「ふふーん、夏美、お前ヤキモチ焼いてんの?」