第3章 もう我慢できない… *裏
思えば、最初に出会った時から惹かれていたのだろうか。
高校一年の9月のある日、転校してきた彼女はその時からあまりにも美しくて思わず見惚れてしまった。
そして高尾と付き合うようになってから、さらに綺麗になり彼女を見るのが次第に苦しくなっていく。
あいつの隣で笑う氷室を見るのが辛くてたまらなくなっていた。
自分は年上がタイプだったはずなのに。
大人しそうなのに意外とおしゃべりで鬱陶しくて、事あるごとに突っかかってきて苦手だと思ってたのに。
次第に高尾と一緒に絡んでいくうちに、いつの間にかあいつがいないと寂しくて物足りないと思うこともあった。
あいつの笑顔を見ると、高尾の鬱陶しさや嫌な事を忘れるくらい癒されていたからかもしれない。
だけどその時の俺は自分の気持ちを認めずに押し殺すばかりで、いつの間にか高尾とあいつがくっつくのを指をくわえて見ることになってしまう。
もう時既に遅しだったのだよ。
そしてあの高尾と人格が入れ替わった日をきっかけにもう俺は気持ちがさらに加速していたのだ。
…今頃、高尾の腕の中で抱かれているのだろうか?
高尾にしか見せない顔や声をたくさん見せているのだろうか?
(全く、受験だというのにあいつら、色恋にうつつを抜かしているのか。…気分が悪いのだよ。)
煮えたぎる嫉妬が俺を苦しめ、落ち着くまでどうしようもできずこの日は勉強に集中が全くできなかった。
この日を境に俺は二人から距離を置いて、勉強に集中した。
もちろん進路のことは一切聞かず、こちらも教えずにいた。
皮肉なことに氷室と同じ大学とサークルに入ってしまい、俺はかなり気まずい思いをすることになる。
だが俺にチャンスが来る日がそのうち訪れることになる…。
おしまい。
→後書き