第3章 もう我慢できない… *裏
ーSide 緑間ー
俺は受験勉強の合間に近くの骨董品屋から帰るところで誰かに呼びかけられ、目を凝らす。
「真ちゃん!」
この声は氷室だ…。
今コイツには非常に会いたくなかった。けど、むやみに去っていくとメールやらなんやらで後で訳を聞いてくるし、面倒臭いから仕方なく、奴がこちらに来るまで待つ事にする。
「氷室か。こんなとこで何をしている?」
何気なく聞いてみるも、俺はまもなく後悔することになった。
「今日ね、カズ君の家で一緒に勉強するんだ。」
氷室は目を俯き、赤面しながら答えた。しかもその恥じらう姿は非常に可憐でつい魅入ってしまう。
それに元々彼女は芸能人に負けないほどの美貌を持っているのも相まって余計にだ。
そしてその姿は俺に対しては絶対に見せてくれない。そう思うと非常に胸が痛んで仕方がない。
(これなら出かけなければ良かったのだよ。)
何も喋らない俺を怪しんだのか、氷室は俺を見上げて心配をする。だけど氷室の質問に質問で返した。
「…氷室、高尾の家に行くのは初めてか?」
「…うん。」
また彼女は初心な反応をする。が、ワンクッション置いてから氷室はその非常に端正な顔と可愛らしい唇から突拍子もないことを聞いてきた。
「…真ちゃんも好きな女の子がいたら、すぐにしたい?」
「な、な、何言ってるのだよ!?」
俺はもちろん驚きを隠せない。あまりにも直球すぎる。
今まで女子とこんな下世話な話を交わしたことはないから、どう答えれば人事を尽くせるのかわからないため、思考回路を巡らせる。
そしてある推測が立った。
(…あいつら、まだ済ませてなかったのか?高尾はすぐ手を出しそうなのに、意外なのだよ。)
俺なりの答えを見つけると、ため息をついてから氷室の両肩を掴み顔を近づける。
「…真ちゃん?」