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300Kmと0㎝

第3章 何も知らない猛獣は




暑かったから。
気分を変えたかったから。
少し、体育館から出たかったから。
あの人から、逃げたかったから。

少し、面白いことが、ありそうだったから。

そしたら、本当にあるんだもん。
俺も思ってなかったし、向こうも見られてるって気づいてないと思う。

あのジャージって…烏野だっけ?
翔陽、あれきてたきがする。

「くろっ....さんっ....」

くろって…
黒尾さんっ!?
なにやってんすか!ダメでしょ!!

ずけずけと入り、彼女を抱き上げた。
黒尾さんが抱きしめてたから、大変だったけど
軽い彼女は簡単に抱き上げられた。

「こんなことしに、いなくなったんですか?ダメですよ?」

小さくため息をついて

「ここは、邪魔しないで素通りしなきゃだろ、リエーフ。」

無理ですよ。
なんて言葉は飲み込んだ。

少し、雰囲気がマジだったから。
冗談でも下手したら最悪かも知んない。

言葉を選んでいると、烏野のマネージャーは口を開いた。

藍蘭「り、えーふさん?降ろしてもらっても…?」

身長からかな?
一応タメ?か、後輩なんだろうけど、敬語だった。

灰羽「あ、うん。」

降ろしてあげたけど、少しよろけていた。
顔も赤かったし、熱中症とか言うやつかもしれない。

灰羽「具合悪いでしょ。」

藍蘭「いえ、全然大丈夫です。」

灰羽「無理よくないよ。」

ただ、大変かなって思っただけ。
ちょっとこの場から逃げたしたかっただけ。

彼女抱えて、その場を離れた。







背後から突き刺すような視線と、
すれ違った時の悲しい視線が、
俺を突き刺した。


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