第6章 想う猫への答
赤葦
試合が終わり、廊下を歩いていると
スクイズを運ぶ彼女の姿。
昨日の事を思い出すと、少しだけ胸が苦しい。
月島とは、何かあったのだろうか。
なんて事を振り払うと、彼女の元へ向かった。
赤葦「藍蘭さん。少しいいですか。」
声をかけるとはっとした様にこちらを向いた。
少し唖然とした様な、驚いた様な表情で
藍蘭「今…赤葦さんの事考えてたんです。こんなことってあるんですね。」
赤葦「そうだったんですね。それは…」
うれしいです。と言いかけて言葉を詰まらせた。
どんなことを考えていたのかはわからないけど
少し嬉しかった。
こんな自分はどう思われているのだろう
と、答えを求めるばかりで焦ってはいけない。
とは思うが、もう自分には時間がないのだと、
焦る気持ちもある。
藍蘭「でも、今は難しいですかね。スクイズは運ばないといけないし、赤葦さんは試合ありますね…。」
赤葦「そう、ですね。いつがいいですか。」
藍蘭「終わった後に、なっちゃいますよね。」
赤葦「じゃあ、終わった後に。」
藍蘭「なにがあっても、必ず行きます。」
彼女は、きっと会えなかった事を
申し訳ないと思っているのだろう。
赤葦「はい、俺も必ず。」
そう言って、体育館に向かった。