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300Kmと0㎝

第5章 行く手を阻まれ揺れる想いは




藍蘭

少しだけ、早かったのかまだ木兎さんは、いなかった。

時間を見ると、10時少しすぎ。

体育館からボールの音が聞こえた。
赤葦さん、まだやってるんだ。

明日の予定を考えてたら、木兎さんが来た。

木兎「ごめん待ったよね?」
藍蘭「いえ、そんなに待ってないです。」

壁に寄りかかっていた私の隣に立つ。

藍蘭「意味、分からなかったんですけど、どうしたらいいですか?」

木兎さんは、笑顔で

木兎「藍蘭ちゃんは、何もしなくてオッケー!俺が勝手にするから。」

藍蘭「はぁ…。」

壁に寄りかかっていた私を、
覆うように、私を抱きしめた。

藍蘭「木兎さん?」
木兎「これも、遊ばせての一つだから。」

そう言われると、抵抗できなくて。
黙ってされるがまま、少し時間がだった。

木兎「ねぇ。何考えてる?」
藍蘭「特に何も…。」
木兎「ドキドキする?」
藍蘭「まぁ、抱きしめられてますし。」
木兎「俺の音、聞こえる?」

密着している為、聞こえてくる。
ボールの音とは違う、規則正しい音。

ゆっくり頷くと、彼は続けた。

藍蘭「藍蘭ちゃんだから!」

少し大きな声だったから、顔を上げると、
身長差があるのに、顔が近くに感じた。

ゆっくり手を解くと、頰に添えられた。

黒尾さんのような怖さはなかった。
でも、よくない気がした。
怖さはないのに、何もできなかった。
きっと、この手を振り払い逃げることはできたのに。





彼は私に、キスをした。

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