第5章 行く手を阻まれ揺れる想いは
赤葦
♫♩♬〜
「もっしもしー?どちら様ですかー?」
知らない番号だか、迷わず出る。
「梟谷の、木兎さんですか?」
華奢な女の子の声。
「はいはーい。そーですけど…?」
「烏野のマネージャーをしております。藍蘭と言います。突然のお電話申し訳ありません。」
木兎「赤葦!猿杭!木葉小見尾長鷲尾!女子マネから電話だ!俺の青春っ!!」
赤葦「…どこのですか?」
木兎「烏野!」
赤葦「貸してください、用あるんで。」
木兎「なにっ!赤葦、もしや俺の青春を…!」
赤葦「違います。」
ヒョイと携帯を取ると廊下へ逃げる。
もしかしての希望を込めて名前を呼ぶ。
赤葦「藍蘭さんですか。」
藍蘭「赤葦さんですか!」
赤葦「はい。」
藍蘭「お話ししたくて、木兎さんに電話したんです。お話、できますか?」
赤葦「はい。…俺も話したいこと、あるんで。」
きっと彼女ははてなを浮かべているだろう。
無言はきっとそうだろう。
赤葦「いつがいいですか?」
藍蘭「今日でも、いいですよ。これから…。」
赤葦「それはやめておきましょう。」
藍蘭「今日いきなりなんて、大変ですよね!すいません。」
赤葦「そうじゃなくて…。また、倒れますよ。」
藍蘭「気をつけます。」
赤葦「それじゃ、明日。」
藍蘭「あっと、はい!おやすみなさい。」
赤葦「おやすみなさい。身体、ちゃんと休ませて下さい。」
心配で仕方がない。
無理に、頑張り過ぎてしまいそうだから。
俺が、見ていないとこで頑張り過ぎているんだ。
俺が見てないって、今の自分には正しい言葉じゃないけど。