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300Kmと0㎝

第4章 静かに見守るあの影は…


藍蘭


藍蘭「黒尾さんが、具合悪くて倒れちゃったけど、嘘だったのかな?んで、リエーフさんが来て…助けてもらって…?赤葦さんと、すれ違ってー…」

短時間の間に様々なことがありすぎて、
ついていかない頭をフル活動させ、整理する。

藍蘭「はぁ…結局わからない…」


スクイズの給水の手を少し止め、頭を悩ませていると、不意に声をかけられる。

「藍蘭でも、悩むことあるんだな。」
藍蘭「笑い事じゃないんですよ?ちゃんと考えてるんですから。」

少し膨らんだ頰を押す彼は、
私達の頼れるキャプテン、澤村大地だ。
…ちなみに怒ると怖いし、笑顔だし。
本人には言えないけど。

澤村「なに考えてたんだ?」
藍蘭「澤村君に話しても、解決しないので。」
澤村「なんだよー。少し頼ってもいいんじゃないか?」
藍蘭「頼っても、理解できない。私がそうだから。」
澤村「藍蘭には、大抵のことは理解できないだろ。」
藍蘭「それ、ばかにしてるんですかー?」

また、私の頰をつつく。

澤村「ごめん、ごめん。」

そう言うと、中身の入ったスクイズを手にした。

藍蘭「あぁっ、運ぶから大丈夫。おいてていいの。」
澤村「そんな、細い腕で全部なんて無理だろ。いーよ。」

なんだろ、このデジャブ感。
前にもあったよーな…

藍蘭「いつだっけ…。」
澤村「藍蘭?また、具合悪くなった?」
藍蘭「ううん。大丈夫。」
澤村「そのスクイズで最後?」
藍蘭「え、あぁうん。」
澤村「そっか。それ入れたら、行くぞー。」

急いで最後のスクイズを入れて、立ち上がる。

澤村「行きますか。」
藍蘭「うん。」



あぁ、さっきのデジャブ感は、あの時のだ。

藍蘭「赤葦さん…」

リエーフさんと、一緒の時見えたあの一瞬。
あの時の表情が忘れられなくて。

藍蘭「なに、かんがえていたんですかねー…。」
澤村「ん?何か言ったか?」
藍蘭「いえ、なにも。」

貴方の考えを少しだけ知りたいと思った。
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