第14章 熱
No Side
日「よし!いちばん!」
そう思って開けた扉の先には
ネットを立てる影山の姿があった。
日「…はよ」
影「おう」
ギクシャクと挨拶を交わして、体育館に踏み入れる。
シューズを履き、きっちり紐を結ぶと
ネット立てを手伝う。
どちらも喋らずに黙々とネットを結んでいく。
立て終えると、景山が日向にボールを投げた。
そのボールをカットし、山なりにして影山に返す。
始めるとも、やろうとも言わずに、
ただただパスを繰り返す。
体が温まる頃には、対人に変わっていて
手のひらに強くボールが当たる音と、
カットでの、柔らかい音が響いていた。
日向から打たれたボールを影山はカットしたものの、
自分の頭上にあげて、
ネットに向かってオーバーでボールを持っていく。
それを見て、反射的にそのボールを追うと、
勢いよく飛び、地面に打ち付けた。
影「おい」
着地したと同時に日向に声をかけると
ボール杯を転がす。
日向が杯を受け止め、アタックラインより後ろ側に立つ。
日向がボールを投げると、即座に助走を始める。
思いっきりスイングするも、ボールは当たらない。
2人の顔が悔しそうに歪んだ。