第11章 恋が始まる夏祭り
待ち合わせ時刻になり、沖田は『万事屋銀ちゃん』のところへやって来た。
「さァて……」
(どんな風に仕上がっているのか楽しみでィ)
そう思いながら、扉を開けた。
ガララ
「ちわー、お迎えにあがりやした、ぜ……」
そう言った瞬間、沖田が見たのは……。
「あ、やっと来たアルナ」
薄い黄色の生地にオレンジと濃い黄色と黄緑の鮮やかな模様が施された着物を赤い帯で締めて、髪型をツインテールにして帯と同じ赤い紐で括った神楽がにこりと沖田に笑った。
「……」
沖田はその姿を見て、顔を真っ赤にした。
(や……)
ーーヤバいヤバいヤバい。理想通り……って髪型ももしかして旦那が……? って本当に……。
「かわ……」
「川?」
きょとんとした様子で神楽は首を傾げた。
「なッ何でもない!」
沖田はハッと我に返って叫んだ。
「それよりそろそろ行きますかィ?」
焦っているのを隠しながら、沖田は話を逸らした。
「おうヨ!」
神楽はそんな様子の沖田に気付かないで、いつものような返事をした。
そんな神楽を見て、沖田は微笑んだ。そして、2人は万事屋を後にした。
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