第10章 幸せな誕生日
公園にて。
「はァ〜ひもじいアル。砂のケーキが本物になる魔法があればいいのに」
今日は7月8日。晴れ渡る空の下で、お腹を鳴らしながら神楽は地面にワンホールのショートケーキを描いていた。最近の万事屋は仕事があまりなく収入がなかったため、おやつの買えない日が続いていた。
ぎゅるるる
だが、神楽のお腹は虚しく大きな音を立てるだけだった。そこへ……。
「はっはっはっ、ダッセェなチャイナ!」
滑り台の上から誰かが神楽を見て、大声で笑った。驚いた神楽は声の方を振り返った。
「サド! あ!」
そして、目に映った物を見て大声をあげた。
「そ、それは……!」
「あーあ、かわいそうに。本物のケーキが食べれないなんてェ」
栗色の髪をなびかせながら、沖田が優雅に滑り台を降りてきた……と言うか、滑ってきた。
「お兄さん、キムタクに似てるって言われない?」
神楽は叫びながら、ケーキの箱へと手を差し伸ばした。それを華麗に避けながら、沖田は言った。
「言われねェよ。つーか、どんな褒め言葉並べられようが、てめーなんかにやらねーし」
ニヤリとSっ気全開で沖田は続ける。
「これは俺の誕生日ケーキなんだから……」