第3章 君の傘になる
「……油断したアル……」
神楽は空を見上げた。空はすっかり晴れ渡ってしまい、燦々と太陽が照りつけている。
「クッソ〜! 結野アナの奴、『今日は1日曇りでしょう』なんてドヤ顔で言ってたくせにー!」
ーー万事屋の天気はいつも結野アナの占いを頼りにしている。その結野アナが『1日中曇りでしょう』と言ったため、神楽は久しぶりに傘をささずに散歩をしていたのだ。ーー夜兎の神楽にとって、傘をささないで外に出られる日は珍しいため、とてもはしゃいでいた。ーーところが、珍しく結野アナの天気予報が外れてしまった。おかげで、外は暑くなってしまい、おまけに日が出てきてしまったのだ。傘を置いてきてしまった神楽は急いで、屋根の日陰に入ったはいいものの、いつ太陽が雲に隠れてくれるかとそればかり気にしていた。
「はァ、ついてないアル……」
肩を落として、このまま夕暮れまで待つか……と思っていたら……。
「おい、チャイナ。そこで何してるんでィ?」
「サド……」
声がしたその先には、サディスティック星の王子こと、沖田総悟が立っていた。沖田はのんびりアイスを食べて、仕事をサボっていたのだ。
「見ればわかるダロ。身動きが取れないアル」
「ん? あァ、そう言えば、お前、今日は傘持ってねェな」
沖田はニヤリと笑った。
「曇りだったから傘を持たねェで外に出たが、晴れてきてしまったため、日陰に入ってたってことかィ?」