第2章 ご機嫌取り
それはちょっと前のこと……神楽は酢昆布がなくなってしまったので、駄菓子屋に行っていた。
「オバちゃん! 酢昆布一箱!」
「あいよ」
駄菓子屋のオバちゃんは微笑んで、常連客の神楽に酢昆布の箱を渡した。
「ありがとネ!」
さっそく、買ったばかりの酢昆布を食べていた時だった。
「あ、総悟」
自分が歩いている少し前を彼氏である真選組1番隊隊長沖田総悟が歩いていたのだ。しかし……。
「……誰……アル?」
その総悟の隣に見知らぬ女の人が一緒に歩いていたのだ。
「……」
神楽は呆然としてしまった。
それを目撃しただけでも嫌だったのに、さらに悪いことに総悟が振り返ったのだ。
「あ、神楽」
そのまま、神楽の方に歩いて来る。
「……っ」
神楽は総悟が来る前に、来た道を全速力で走り出した。
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