第11章 失う事の悲しみ(ルカside)
「無駄な抵抗なんですよ。そういうの。むしろ、対処がめんどくさいです」
カタカタ震える澪。
ぎゅっと服の裾を握り締めてくる。
「たとえ、力を手に入れれる"物"を手に入れても、争いは止まない」
「大丈夫さ。ヴァンパイア族は平和主義ですよ」
ずっと、見て見ぬふりをしていたわけではない。
だからこそ僕には分かる。
どこの世界にも、争いはあるんだと。
「証明してみろ」
「では、その方を渡せ?」
「イヤだ」
人間もヴァンパイアも、結局。
何一つ、変わらないじゃないか。
この絶望感は、なんなんだろうか。