【3Z】犬のように愛し猫のように可愛がる【R18/BL】
第5章 参加条件
テスト対策会議も無事に終わり、
3年Z組の生徒達はテストまで毎日放課後英語勉強をする事となったが、
これがなかなか苦戦していた。
元々勉強アレルギーだった彼らは、
勉強会三日目からもうおかしくなり始めていた。
ある生徒は泡を吹き、またある生徒はサングラスを食べ始めるという奇行に走り出した。
このままじゃ、全員80点なんてとても無理だ…。
八雲は生徒達に自分が出来る範囲の英語を教えながら、
不安が立ち込める。
そこでふと不良少年を思い出す。
「そう言えば…クラス全員参加ですよね?高杉はいいんですか?」
何故かジャージ姿に着替えている銀八に問い掛けた。
「あ?あいつ?…いやよくねーだろ。バカ校長全員が80点以上つってたし」
「じゃあ呼ばないとダメじゃないですか!」
それを聞いて思わず声がデカくなる。
勉強がどうのこうのよりまずそこで条件クリア出来てないじゃないか!
「無理に決まってんだろ?」
銀八が吐き捨てるように言う。
「あいつは素直に人の言う事聞くような奴じゃねーしな。それに無理に参加させても真面目にテスト解答しねーだろ」
確かにその通りだ。
あの性格からして、分かりましたと素直に言う事を聞いてくれるとは思えない。
「ま、校長もその事は分かってるだろーし。今のメンバーで頑張ろーや」
銀八は慰めるように八雲の頭をポンと撫でた。
確かに今はそれが一番いい。
だが少しでもクリアに近づいた方がいいじゃないか。
…ダメ元で行ってみるか。
二度と行かないと心に誓ったが、もう一度あの場所に行く事にした。
あの出来事は今でも悪夢でしかない。
けど…
今までただ見てる事しか出来なかった自分だが、
このクラスの一員としても力になれる事があれば何でもしてあげたかった。
八雲は意を決して、高杉の居るプレハブ小屋へ向かう。