【3Z】犬のように愛し猫のように可愛がる【R18/BL】
第20章 契約解除
「けどまぁ、丁度良かったんだろ。お互い都合の良い相手でよ。…けどそれももうしめーだ」
高杉は俺の手からボイスレコーダーを奪い取ると、床に叩き付ける。バキリと渇いた音と共に、契約は粉々に壊れてしまった。
これで鎖は解かれた。もう繋がれる必要もなくなった。それを見てまた涙が流れる。
「悪かったな。今まで散々な扱いして」
謝らないでよ。そんな言葉欲しくないよ。らしくないじゃないか。
「じゃあな。もう会う事もねーだろうけど」
「…ごめん。…今までありがとう」
ドアノブを掴む高杉の背中に泣きながら言った。最後にそれだけは伝えたかった。
一瞬高杉が動きを止めたが、こちらを見る事はなかった。バタンと音を立て扉が閉まる。一人になって、その場にぺたりと座り込みまた泣いた。
「…俺だって、自分の事は嫌いだよ」
自分の事しか考えられない自分が嫌いだ。臆病で卑屈な自分が嫌いだ。何も出来ない無力な自分が大嫌いだ。