【3Z】犬のように愛し猫のように可愛がる【R18/BL】
第19章 暴走と葛藤
「入るぞ」
ガチャリと音を立てて銀八が生徒指導室へと入る。八雲は何の反応も見せずただ椅子に座り俯いていた。
銀八は無言で八雲の向かいの椅子に座る。
「…話し合えたか?」
返事はない。
「まぁ、出て行った高杉(あいつ)の様子見ると、まともに話し合えなかったみてーだな」
「…俺が、悪いんです」
ようやく八雲が口を開く。その声はいつもとは違いとても重い。
銀八は静かに話を聞いた。無理に聞き出す気はない。こうなった事に、銀八は少し責任を感じていた。
俺が、ちゃんと教えてやるべきだったのか?だが俺が口を挟んだところで何になる?それで状況が変わるのか?
…いや、何も変わらない。こいつらがこのままである以上、こいつら自身が変えようとしない。
だから、大事になる前に気付いて欲しかった。この間違った関係に。自分自身で。
そんな銀八の気持ちは、八雲達には届かないまま結局こんな事にまで発展してしまった。
勿論、銀八自身に責任を感じる必要はない。だが分かっていながら、どうする事も出来なかった自分が歯痒くて仕方ないのだ。
銀八は小さくため息をつき、八雲の方にしっかりと体を向ける。