【3Z】犬のように愛し猫のように可愛がる【R18/BL】
第17章 たまには違うお遊び
身体の痛みに八雲が目を覚ます。寝ぼけた目で時計を見ると夜中の3時だった。
「…シャワー、浴びないと」
ポツリと呟き重い身体を引きずり浴室へと向かう。
服を脱ぐとズボンまで濡れていた。無言で衣服を洗濯機の中へ放り込む。不意に鏡を見ると、情けない顔をした自分がこちらを見つめている。
「…気持ち悪い」
鏡に映る自分に向かって吐き捨てる。
気持ち悪い。人目ばかり気にしている情けない自分が。簡単に誰かに身を委ね、逃げる事しか出来ない汚い自分が。無力な自分が…
「クソッ!クソッ!クソッ!!」
鏡の自分に向かって何度も拳を振り上げる。何度目かでガシャンと大きな音を立て鏡が割れる。手の甲が鏡の破片で切れ痛みで手を止めた。
「チクショウ…」
ペタリのその場に座り込む。今にも泣き出してしまいそうなその声は、無音の一室に虚しく響いた。
明日、どんな顔をして高杉に会えばいいんだろう。
こんな事がバレてしまえば、今度こそ本当に捨てられるかもしれない。
これ以上、孤独を味わうのは耐えられない。もう一人は嫌だ。
「…お前だけは、俺を見捨てないでくれよ。高杉」
その場に居ない男の名前を何度も呟く。知らず知らずに目から涙が溢れ、声を上げて泣いた。
ひとしきり泣いた後、ゆっくりと身体を起こしようやくシャワーを浴びる。そこでまた疲れがぶり返し、八雲は浴槽に浸かったまま再び眠りについた。