第8章 ハリー・ポッターと死の秘宝Part2
「ママ、ホグワーツは怖い?」
ふと、シリウスが不安そうな顔で聞いてきた。
「怖くないよ。ママもパパもあそこでたくさんのことを学んだ。友達と遊ぶことも、規則を守ることも、破ることも。戦い方だって。どれもこれもあなたの素敵な経験になる。ママもパパも待ってるから、リーマスとドーラと元気でね。」
「グリフィンドールとスリザリンなら、どちらがいいと思う?」
「どちらであってもあなたなら大丈夫。リーマスやドーラがグリフィンドールでも、あなたがスリザリンに入ったのならスリザリンは優秀な魔法使いを手に入れたことになる。ママはあなたを信じてる。」
「分かった!ママ、パパ、行ってきます!」
シリウスはジョージと抱き合い、リーマスとドーラと汽車に乗り込んだ。
早速ローズやジェームズ、アルバスと同じ座席で遊んでいた。
子供の成長は本当に早いんだね、リーマス。
昔、成長を見せた私に驚いた声を出したリーマスを思い出す。
「行ってらっしゃい、子供たち。愛してる。」
「寂しいのか?リエル。」
ジョージが肩を抱く。
「少しだけ。」
「あの子たちなら大丈夫。」
「そうだね。」
新しい世代の旅立ちを、手を振って見送った。
「子供の成長って、早いわよね。」
目を潤ませていたハーマイオニーが笑う。
ヒューゴがハーマイオニーの手を握っていた。
「子供の成長?早いの?」
リリーが不思議そうに私に尋ねた。
「早いよー。リリーだってヒューゴだってみんなこの子みたいにママのお腹にいたんだから。」
お腹の子を撫でると、リリーは同じようにお腹を撫でてくれた。
「みんなでご飯でも行こうか。」
ロンの提案にみんなで頷く。
たくさんの犠牲を出してまで追い払った闇。
子供たちには降りかかることがありませんように。
あの頃のアルバスやリーマス、シリウスやセブルス、多くの大人たちが願ったのと同じように、次の世代の幸福を願っていた。