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Mein Held(進撃の巨人:ジャン夢)

第1章 Mein Held


 一方、アグネスはジャンの言い分を受け入れずにいた。兵士になったからには戦場に立つのが当たり前だと言うのが彼女の考えだからだ。それを証明するように、訓練時のアグネスは戦いに積極的だった。誰よりも先に巨人模型を探し出し、時に失敗はあるものの誰よりも多く巨人模型を切りつけた。立体機動装置と剣の使いこなしは並みだが、それをカバーする程の反射神経と行動力は持ち合わせている。見ている側には危なっかしく感じるが、一度スイッチが入れば「戦闘狂」と呼ばれるだけの猪突猛進な暴れ方はしていた。命は惜しくないとでも言うように訓練に励んできた彼女にとって、戦いを諦める人間は軽蔑に値する人物に思えるのも仕方が無いのかもしれない。

 けれど同時に、近年の風潮を思えば戦う意志がない者が兵士の大半を締めているのも知っている。皆恐怖と戦い、世間の目を気にして成りたくもない兵士に成ったのだろう。純粋に兵士になりたい者など、全体の一割にも満たないはずだ。それではいくら何でも巨人に対抗する力が足りなさ過ぎる。だから「怖い」、「戦いたくない」、「逃げたい」と思う人々の弱さを否定するつもりは毛頭なかった。

 だがその「弱さ」を堂々と発言するジャンに、アグネスは苛立ちを覚えていたのだ。素直だの正直だのと周りは良く評価するが、「口にするほど嫌ならば兵士になるな」と言うのが率直な意見だ。それに加えて、ジャンが「内地は安全」と盲信しているのも腹立たしい。

「巨人達がウォールマリアを侵略出来た以上、人類に『安全』なんて保証はどこにも無いわよ。戦いこそが、私達を本当の平和に導く鍵じゃないの!」

「お前まで『死にたがり野郎』と似たような事言いやがって。言い訳付けてただ暴れたいだけのお前と違って、俺は賢い選択をしてるだけだ。いい加減、俺が決めた事に口出しすんじゃねーよ!」
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