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Mein Held(進撃の巨人:ジャン夢)

第1章 Mein Held


 巨人が人類の領域に攻め込む事が出来た数年前より、人々の生活には不安が付きまとうようになる。次はいつあの超大型巨人に襲われるのか。その時、人類は完全に滅びてしまうのではないのだろうか。そんないい知れぬ恐怖から可能な限り逃れるには、方法はただ一つ。ウォールシーナ内で暮らす事だ。

 巨人達が次に侵略出来るのは現在の外壁、ウォールローゼ。一番内側にあるウォールシーナ内は比較的に安全と言えるだろう。もちろん、ローゼの次はシーナが襲われる番だが、人々はそんな事実に目を逸らし、ただただ己の身をより安全な場に置きたがっていた。シーナでなら、平穏が約束される事を信じて。

 しかし問題が一つ存在していた。それはローゼとシーナの行き来が一般に許されていない事だ。マリアからローゼへ避難してきた難民の所為でローゼの暮らしは厳しくなった。人口密度が高くなり、人々が寝起きする場所の確保に大分時間が掛かったし、何よりも食料が不足していた。そして建前とは別に「口減らし」を目的とした領土奪還作戦で多くの人が死ぬ。そんな事態を知って尚、シーナに難民を受け入れたい者はいない。むしろ難民達はシーナにとって病原菌と同等の扱いだ。心の固い貴族達は豊かな暮らしを手放したくない一心で、ローゼとシーナの間にある貧富の差を埋める考えすら拒否する。

 だがジャンは僅かな希望を見つけた。それは訓練兵団に入団し、成績上位十位に入る事。それさえ達成すれば、彼にはシーナ内で憲兵団として生活できる権利が与えられる。数多くの人間が願う「平穏」を手に入れる事が可能になるのだ。自分になら出来る。そう確信して彼は訓練兵になった。自身のエゴを突き通す為に、ジャンは兵士になったとアグネスに主張していた。
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