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Mein Held(進撃の巨人:ジャン夢)

第1章 Mein Held


 ポキポキポキ ブチブチブチ

 アグネスの脚の骨が折れる軽い音と、肉を引き千切る音がその場に響く。数秒を有し、アグネスの脳がやっと痛みを認識した。声の無い悲鳴を叫びながら、彼女は巨人の手の中でもがく。

 孤独な死が、近い。

 このまま一人で死ぬのだろうか。無様にこの世を旅立つのだろうか。他の兵士達も、こんな惨めな気持ちで逝ったのだろうか。痛みと同時に言いようの無い恐怖がアグネスを襲う。様々な感情が交じり合い、涙がそれを証明するように溢れ出た。

「そいつから、離れろおぉぉっ!!」

 刹那、どこからか聞き慣れた声がアグネスの耳に届いた。妙な浮遊感を覚え、気づけば目には夕焼けの空と、焦るジャンの顔が視界に映る。そうして漸く、アグネスは巨人の手から解放された事を理解できた。恐怖からも解放されたアグネスは、妙な安心感を胸に抱きながら、脚から止めなく流れる血を止血しようとするジャンをぼーっと見つめる。そしてぽつりと笑みを浮かべながら呟いた。

「馬鹿ジャン。やっぱり、アンタが好き。」

「……っこんな時に何言ってやがる!」

 一刻も争う状況の中、空気を読まないアグネスの発言にジャンは怒鳴り返す。傷口を見ていたジャンだが、能天気なアグネスに喝を入れる為に顔を見た。だが、続けようとしていた言葉は口から出る事なく、ジャンは血色が悪くなってゆく彼女の表情に青ざめる。
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